人生100年時代の住まい選び/もう賃貸 vs 持ち家の議論はやめよう

はじめに

私は20代で住居用に分譲マンションを購入し、30代での転職を機にマンションを売却、40代になった現在は都内の賃貸物件に住んでいます。

これまでの経験を基に人生100年時代を見据えた賃貸のメリットとデメリット、人生100年時代を見据えた住まいの考え方について書きたいと思います。

賃貸のメリットとデメリット

メリット

何と言っても、転居の自由です。

いつでも転居できる選択肢を持っておくことは、精神的にとてもゆとりがあります。

どういった時に転居する選択肢があったら安心か考えてみると、

  • 隣人トラブル

住んでみて変な人がいたという時に購入してしまうと身動きが取れません。また、購入時は問題なくても隣人は変わる可能性がありますので戸建であろうとマンションであろうとリスクは付きものです。

  • 子供の学校トラブル

子供ができ、学校に行き始めるとクラスメートとのトラブルも一度や二度はあります。私の場合は子供が軽度の怪我をするようなトラブルはあったものの転居するまでには至っておりませんが、いざという時に転居する選択肢があると安心です。

  • 子供の進学

子供が小さいうちに家を買ってしまうと、子供の進学の制約になるのではないかと考えています。私の場合は今のところ子供の保育園や小学校に上がる時に送迎が楽になるように徒歩5分圏内に賃貸マンションを借りました。今後、もしも今住んでいる地域外の学校に進学するようなことがあっても、子供の安全を第一に近くに転居する予定です。

  • 家族の増減

子供が生まれて家を買う人が多いと思いますが、子供が大きくなって家を出た時に夫婦二人での生活に合ったサイズや場所に転居できる選択肢があるのはメリットです。

  • 転勤

勤め先によっては転勤辞令が出た時に、持ち家を賃貸に出すか売るか、家族と別居するかといった選択に悩まされることになります。そもそも転勤の可能性が高い勤務先であれば買わない方が懸命かもしれませんね。

  • 転職

人生100年時代を見据えると、新卒で入社した会社に40年以上務める人の割合はかなり減るのではないかと思います。私も2回転職していますが、どちらも転居を伴っています。私の経験上、転職先を考える時に選択肢が狭まるのは避けたかったので、転職においても転居の選択肢があるのは気分的に制約が無く楽でした。

転居の自由度があること以外にも、賃貸の場合は持ち家に比べると、同じコストで考えた場合に賃貸の方が利便性の高い場所に住めるのではないでしょうか。

共働き家庭で時間や効率を優先したい状況においては、

  • 駅近、買い物など便利な生活エリア
  • 職場近く

といった利便性の高い地域に住むことで移動時間を短縮できます。

仕事をしている平日は利便性の高い賃貸で生活して、週末は郊外の持ち家でのんびり過ごすなんてことができると理想かもしれません。

あと、私にとって「転居の自由」と並んで大きなメリットが「大きな借金がない心のゆとり」です。

最初にマンションを購入した時は20代とは言え、35年ローンで将来どうなるか分からない状況にもかかわらず、大きな借金を抱えることで先に上げたような制約から人生まで制約を受けているような息苦しさがありました。

住宅ローンから解放されることで、

  • 投資でリスクを取れる

住宅購入の頭金やローンを返済する代わりに投資でリスクを取って、お金を増やすことができました。住宅ローンで金利を銀行に払うより、投資でお金を増やす方が圧倒的に気分良く暮らせます。

  • 妻が仕事を辞めるなど変化に対して柔軟に対応できる

住宅ローンから解放されると、収入減などの想定外のリスクに対応しやすくなり、心の余裕が生まれます。もしもの時に取り得る選択肢が多いのは本当に気持ちが楽になります。

デメリット

メリットを多く挙げてきましたが、もちろん賃貸のデメリットもあります。

分かりやすいところで言えば、次のような点です。

  • 老後も家賃を払い続けなければならない

老後も賃貸に住むのであれば、持ち家が無い分、老後の備えとして貯蓄が必要になります。

  • 資産価値

当然のことですが、賃貸は自分のものになりません。何十年と家賃を払っても全て資産にはならず経費です。子供にも家を残してやることはできません。ただ、子供に家を残すことについては賛否あると思います。その時に資産価値があるのか何十年も先のことを正確に予想することは難しいですし、一方で資産価値が無くても子供の頃に育った家は家族にとっては価値があるものです。

  • 世帯主にもしものことがあった場合

賃貸と違って、持ち家は一般的に団体信用生命保険(団信)に入りますので、世帯主が住宅ローン債務者だった場合は残された家族はローンから解放されます。当然、賃貸の場合は残された家族は家賃を払い続ける必要があります。

  • 故郷

持ち家は子供に故郷を残すことができるのがメリットであり、賃貸では難しい点かもしれません。

人生100年時代は選択は一度ではない

賃貸のメリット/デメリットを見てきましたが、私は一生、賃貸 vs 持ち家の二択ではないのではないかと考えています。

人生100年時代と言われる現代において、50代くらいまでは子育てや仕事で柔軟に住む場所を変えられる賃貸のメリットを最大限に享受しつつ、人生の後半になってきたら故郷と言える場所、例えば子供が小さい頃に過ごした思い入れのある場所などに家を買うのも悪くないかなと思うようになってきました。

60過ぎてからでも子供が帰ってくる故郷、終の住処として家を買うのは遅くないのではないでしょうか。60代で買っても20年以上住める時代になりましたし。

その為にも人生のステージに応じて住む場所にとらわれず、仕事や子育てを全力で行い、そして計画的かつ効率的に資産を作っていくことが大切だと思います。

長くなりましたが、家に対する考え方は人それぞれだと思いますが、一つの考えとして皆様の何かのお役に立てれば幸いです。